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第7話「焔の選択」

クエストを終えた帰路、焔の頭の中は静かやった。
けど、心の奥底で、ずっと小さな火種が燻ってた。

それは――“打ち終えた後の、空虚さ”。

仲間たちが、手にした武器で成果を出すたびに、
焔の胸にはひとつの想いがくすぶるようになっていた。

「──このまま、ウチはここにおってええんか?」

工房に戻った翌朝。
ギルドからの正式な依頼書が焔の元に届けられた。

《冒険者パーティ「灰色の鋭鋒(グレイエッジ)」は、鍛冶師・焔の同行を要請する》

鍛冶村・錬火の代表者として、共に旅をし、
装備の整備と戦闘支援を担ってほしいという内容だった。

焔は無言のまま、その紙を炭の上で焼いた。
燃やしてしまったんじゃない。ただ、“一回、真っさらにする”ために火にくべた。

工房の奥。静まり返った棚の前。
六本の神槌が、まるで焔の答えを待っているように沈黙していた。

「……なぁ、お前ら。ウチ、行ったほうがええんやろか」

返事はない。ただ、ひとつだけ、
千王槌の柄が、微かに“ギィ”と揺れたように見えた。

焔は笑った。

「……せやな。叩きたいんや。もっと。素材も、人も、未来も」

その夜。村長に話をつけ、村の鍛冶たちに囲まれながら、
焔は黙って深く一礼した。

誰も止めなかった。
止められへんのを、村の全員が分かっていた。

焔は荷をまとめる。重たい鉄くずのような思い出を、ひとつずつ背負いながら。

そして出発の朝、村の外れ――火釜杉の前で立ち止まった。

焔は振り返らず、呟いた。

「行ってくるわ。叩くべきもんがある。
せやから……ウチは、前に出る」

神槌を背負い、焔は歩き出す。
己の“仕事場”を、村の鍛冶場から、戦場へと変えるために。

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