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第5話「鍛冶師、戦場に立つ」


推敲前

クエストも終盤。標的の群れをようやく削り切ったところで、嫌な音が響いた。

「──ッ、クソッ!」

タンクの叫びと同時に、盾が弾かれ、地面に転がった。
見ると、重厚な盾の表面にヒビが走り、縁が削れている。
相手は、予想外の強化個体。魔力を帯びた衝撃で、盾の芯ごと歪んでいた。

「ちょっと待って! ヒール入れる──っ……!」

ヒーラーが杖を構えたが、肩で息をしながら首を振る。

「……ごめん。もう、MPない……」

空気が一瞬、止まる。

焔は何も言わず、静かに歩み出た。
神槌──千王槌を手に、ゆっくり前線へと歩いていく。

「おい……お前、まさか行くのか!?」

アーチャーが声を張る。
けど焔は、ちらりと目だけ向けて、静かに応えた。

「任されとるんは、“仕上げたもんを守ること”や。ウチの仕事やろ」

そう言って、焔は倒れた盾を拾い上げ、指先でヒビをなぞる。

「……芯、折れてへん。いける」

次の瞬間、焔の足元の影がふわりと揺れ、槌が鈍く光る。

ガァンッ!

ひと振り──衝撃が盾に染み込み、ヒビが音もなく“解けて”いく。

「なっ……直った!? その場で……?」

アーチャーが驚きの声を上げる横で、タンクが目を見張る。

焔は修理を終えた盾を、ひょいとタンクに差し出した。

「ほい、元通り。それどころか、ちょっと強なっとる。今度は吹き飛ばされへんはずや」

「……お前、本当に鍛冶師なのか?」

タンクが苦笑まじりに受け取り、盾を構え直す。

その横で、神槌がわずかに脈動する。

──ドン。

地面に広がる波紋のような衝撃が、仲間たちに届く。
その瞬間、全員の身体が軽くなった。

「今のは……何? 体が、動きやすくなった気がする……!」

ヒーラーが驚いたように手を開く。
その魔力の流れさえも、さっきより滑らかに感じる。

「千王槌の“限界打破”や。状態異常やデバフを、全部吹き飛ばす効果がある。
……戦場やと、これくらいせな間に合わへん」

そう言って、焔は神槌を肩に担ぎなおし、淡々と仲間に目を向ける。

「──もう一波くる。行くで」

その背中は、鍛冶師でありながら、戦場の前線を歩く者のものやった。

 

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